人生を豊かにするおかねの学校

現役銀行員がおかねについて優しく解説するblogです

【給与所得者様向け】積み立てで資産形成をスタートしよう

前回のblogに書いた通り、「おかねは使いながら貯めましょう」というのが、私の提言です。

 

manelog.hateblo.jp

 

そして貯蓄の王道が「積み立て」です。

積み立てを始める前に、毎月の収支を整理しておきましょう。

www.ibank.co.jp

ウォレットプラスのような収支管理アプリを利用することがお勧めです。毎月の収入と支出が整理されて確認できるので積み立てに回せる金額(収支余力)がどこ程度あるのか簡単に確認できます。毎月赤字の方はまず黒字化するのが先決。給与所得者である以上、収入を増加させることは容易ではないため、支出側の見直しをしてみてください。家賃やスマホ代、サブスクや交際費等などを見直すことで多くの場合は黒字化できるはずです。

 

 

 

①投資で運用

毎月積み立てできる金額の見立てがたったら早速始めてみましょう。まず思いつくのが「積み立て定期預金」という方は多いのではないでしょうか。ただし、みずほ銀行のホームページを覗いてみたところ、運用利率は0.002%です。魅力を感じられるでしょうか??できることならもう少し年率を高めたいものです。運用には複利効果(元金に加え、受け取った収益を元手に運用していくこと)が期待できるため、年率が数パーセント異なるだけで、将来的の受け取り金額は大きく変わるのです。

www.fsa.go.jp

金融庁のHPから運用シミュレーションを取ることができます。

毎月1万円の積み立てを20年間行ったときのシミュレーションです。

積み立て定期を想定し0.002%の運用を行った場合、20年後の積み立て金額は2,400,478円。つまり、元本割れのリスクはゼロかもしれませんが、20年間で受け取れる利息はたった478円です。

一方、投資信託などの投資商品を想定し、3.6%での利回りで運用できたと仮定した場合の20年後の積み立て金額は3,507,400円。20年間での受け取り利息額は1,507,400円です。

確かに一定のリスクは伴いますが、非常に魅力的だと感じませんか?

ちなみに、この3.6%というのは国際通貨基金IMF)が発表している世界の実質GDP成長率です。特に知恵を使わなくても、世界にバランス良く分散投資すればベースとしてこれだけの成長が見込まれるということです。この想定利回りは十分に実現可能なものでしょう。

 

「よし、多少のリスクがあれど毎月定額で投資商品を購入しよう!」と決断された方。さらにここでメリットが発生します。ドルコスト平均法の利用に伴うメリットです。

ドルコスト平均法とは…資金を分割して購入する場合、一度に購入せず均等額を定期的に継続して投資すること。こうすることで、相場が安い時にたくさん購入し、相場が高い時には少ししか購入しないいという投資手法が継続されます。時間を分散して投資することで、長期的に右肩上がりの投資銘柄であれば、利回りを好転させる効果が期待できます。

詳細は以下のリンクを参照にして下さい。

www.jsda.or.jp

 

さて、期待値が高まってきたところで、いよいよどのような投資型商品を利用していくのが良いか検討してみます。

 

(1)投資信託で運用

王道はNISA口座を活用した投資信託です。投資信託とは、一言で言えば投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資かそれぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品のことを言います。

世界か日本か、株式か債券か現物か、どのような業態かなどを選択することで、投資から集めた資金で個別銘柄をプロが選定し運用してくれるため、投資信託を購入することで一定の分散投資がされることとなります。株式ほど価格変動が大きくないため、長期の資産形成には非常に向いているでしょう。

注意点としては、運用成績は市場環境などによって変動するため預金などと異なり元本が保証された金融商品ではないこと、販売会社に対する「購入時手数料」や運用中は間接的に信託財産から「信託報酬」といった手数料が差し引かれることなどがあります。

 

(2)ロボアドを利用する

THEOプラスやウェルスナビと言ったロボアドを活用することもお勧めです。AIが資産状況を踏まえた上で、世界中の株式・債券・現物資産にバランス良く投資を行ってくれます。

AI運用は長期資産形成において非常に親和性が高いです。長期投資のコツは「今が買い」などと行った私的感情を極力挟まないことです。AIはこの私情を完全に排除してくれるからです。全世界がこれまで通りインフレ傾向に緩やかに経済成長し続けて際いれば、概ね成功するでしょう。

 

(3)株で運用する

最近は少額の株式投資もできるようになりましたが、資産形成と言った観点からはお勧めしません。価格変動が大きく、リスクが高いためです。株式は基本的に購入者の目線でマーケットを分析・個別企業を判断しながら短期的に売買を行っていくものであり、そもそも長期投資には向きません。株式への投資は仮に0になってしまっても構わない覚悟を持って余力資金で行いましょう。

 

 

 

②ドル建終身保険

もう一つお勧めなのが、ドル建の終身保険での資産形成です。その名の通り、保険料や解約返戻金がドル建てで計算される終身保険で、資産運用や相続対策、学資保険の代わりなどとしてこの低金利時代に人気の商品となっています。これまで述べてきた投資と大きく異なる点は、あくまで終身保険のため、積み立てを開始した段階で死亡保障が立ち上がることです。まだ小さなお子様の見えるようなご家庭は万が一の際の備えとしても非常に有効です。

 

〈外貨建て保険のメリット・デメリット〉

(1)メリット

投資として

・円よりも金利が良く貯蓄性が高いこと

・通貨分散することで円の価値が下がるインフレ対策に有効であること

・円安の時に解約すると為替さえきで通常の利息以上の大幅なプラスになる可能性があること

保険として

・生命保険料控除の対象となり節税効果があること

・加入者が万一の時は死亡保険金を受け取れること

・死亡保険金の非課税枠(法定相続人×500万円)が適用されること

・病気で重い状態などの場合にそれ以降の保険料の払い込みが免除されるケースがあること(※契約・商品による)

 

(2)デメリット

・保険であることから早期での解約は元本割れをすること

・円換算の保険料(支払う保険料)が毎月為替相場によって変動すること(支払保険料がドルで設定されている場合)

・円での支払いや受け取りに為替手数料がかかること

・為替リスクによって元本割れする可能性があること(最後まで払い込めば元本割れしないというのはあくまでドルを基準に考えた場合)

 

(3)デメリットを補完するには

・解約時期は自分で決めることができるため、円安になるまで待つことで元本割れを回避できる

 

〈外貨建て保険が向いている人・向いていない人〉

(1)外貨建て保険が向いている人

・長期の資産形成を主目的としており、早期解約の予定がない人

・自身の死亡や高度障害に対するリスクにも備えたい人

・保険による税制上のメリットを享受したい人

 

(2)外貨建て保険が向いていない人

・早期解約の可能性がある人

・学資保険として活用する場合など、必ずこの時期に円転すると行った必要がある人

・円、預金至上主義でリスクが取れない人

具体的な商品設計が伝わるよう、代表的な2商品についてリンクを貼っておきます。

www.metlife.co.jp

www.pgf-life.co.jp

 

 

外貨建て保険については、保険としての一定のメリットを享受しながら、あくまでも投資として活用するものと考えた方が無難です。早期での解約は当然元本割れしますので、あくまで長期運用できる人が基本となります。円建てでは実現できない投資商品になりますので、メリット・デメリットをしっかり把握して、自分の資金の利用目的などと照らし合わせながら活用するのが良いでしょう。

 

③まとめ

「毎月コツコツ積み立てて資産形成」をテーマに投資による方法と外貨建て保険による方法の2つを紹介させていただきました。

それぞれ特徴がありますので、ご家庭の状況に合わせてご利用頂くと宜しいかと思います。

それではハッピーなマネーライフを。